2023年度 CDP質問書の概要
CDPより2023年度の質問書のプレビューが公開されました。
本記事を執筆時点(2023年2月)では2023年度のスコアリング基準は公開されておりませんが、2023年度の回答スケジュールや気候変動質問書に新しく追加された設問の内容について紹介させていただきます。
2023年度 CDP質問書スケジュール
- 2023年3月に日本語版の設問プレビュー及び回答ガイダンスが公開予定。
- 4月に回答システムがオープン。
- 回答期限は7月末日と2022年度から変更なし。
全セクター共通設問の変更点
- 全体の79%の設問は2022年度から不変、もしくはマイナーチェンジが施されたのみ。
- 2022年度から1つの設問が削除、7つの設問が追加。25の設問に内容の修正あり。
- 設問総数は136問。
2023年度に新設された設問
- 2022年度に続きCDPが重要視している1.5℃目標に向けた移行(トランジション)や生物多様性に関係する設問が追加。
- 特に、1.5℃目標に即した移行計画の策定状況に関する設問(C3事業戦略)には、※EUタクソノミー基準を満たす製品・サービスからの売上が総売上高に占める比率や、EUタクソノミー準拠活動への投資が支出総額に占める比率を問う設問が追加されており、スコアリングの対象になるのか否かに注目が集まる。
- 新設された7つ設問の概要は以下の通り。
設問 番号 | 内容 | 回答方法 |
---|---|---|
C3.5b | C3.5において、「1.5℃目標に即した財務会計上の支出/収益を特定している」と回答した場合に、EUタクソノミー基準等に適合する事業活動に関係する支出/収益の割合を問う設問が追加されたもの。 | 事業活動の内容、財務会計上の科目や金額を回答。 |
C3.5c | C3.5bの回答において、各企業活動がEUタクソノミー基準に適合すると判断した根拠を記述する設問が追加されたもの。 | 判断根拠を自由記述で回答。 |
C7.7 | C.7において回答したScope1,2排出量に子会社の排出量が含まれているかを問う設問が追加されたもの。 | 【Yes/No/該当する子会社なし】から選択して回答。 |
C7.7a | C7.7でYesを選択した場合に子会社毎のScope1,2排出量を問う設問が追加されたもの。 | 子会社名、業種、排出量等を回答。 |
C12.5 | 署名/加入している環境問題に関連した協調的枠組み、イニシアチブを問う設問が追加されたもの。 (2022年度は金融セクター固有の設問であったものが、全セクター共通設問へ変更。) | 協調的枠組み、イニシアチブをドロップダウンリストから選択して回答。 協調的枠組み、イニシアチブ内での役割を自由記述で回答。 |
C15.4 | ユネスコや国際自然保護連合、Natura 2000が指定する生物多様性の保全の為に重要な地域の近隣で企業活動をおこなっているか問う設問が追加されたもの。 | 【Yes/No/評価していない】から選択して回答。 |
C15.4a | C15.4においてYesを選択した場合に、その詳細について問う設問が追加されたもの。 | 生物多様性の保全の為に重要な地域の種別や当該地域からの距離をドロップダウンリストから選択して回答。 企業活動の内容や生物多様性の保全に向けた取り組み内容について自由記述で回答。 |
- ※EUタクソノミー:EU域内の2050年カーボンニュートラル目標を達成する為、EUがカーボンニュートラルに貢献する事業活動の概要や基準をまとめたリスト。
さいごに
2023年度の質問書でも1.5℃目標に即した移行計画の内容を問う設問が追加されており、CDPは各事業者に対して、今まで以上に計画を具体化することを求めていることが読み取れます。
移行計画に関係する設問の配点が大きくなる可能性もございますので、2023年度のスコアリング基準について引き続き状況を注視する必要がございます。
弊社は移行計画の策定を含む気候変動リスク対応関連のコンサルティングサービスを提供しておりますので、お気軽にお問合せいただけますと幸いです。