温室効果ガスインベントリとは

温室効果ガスインベントリ(GHGインベントリ)とは一定期間内に二酸化炭素CO2はじめ、温室効果ガスがどの排出源、吸収源からどの程度排出・吸収されたのかを示す一覧表です。

一般的には国が一年間に排出・吸収した温室効果ガス排出量を示した一覧表を指すことが多く、国家温室効果ガスインベントリと呼ばれます。

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の加盟国は例年、国家温室効果ガスインベントリを作成し報告する義務を背負っています。

日本では国立研究開発法人 国立環境研究所に温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)を設立し、詳細な排出・吸収源とその排出・吸収量算定方法を報告しています。

温室効果ガスインベントリは2つの報告書から構成されています。

1. 共通報告様式(Common Reporting Format : CRF)

共通報告様式とは排出・吸収量の数値を報告する為のデータテーブルであり、Microsoft Excel形式です。

UNFCCC事務局が開発した専用のソフトウェアを活用することで共通報告様式を作成することが可能です。

2. 国家インベントリ報告書(National Inventory Report :NIR)

国家インベントリ報告書とは共通報告様式で提出した排出・吸収量の算定方法や使用データの出典元について説明しているものです。

温室効果ガスインベントリでは大きく次の4つのカテゴリーに分類して対象となる二酸化炭素など7種類の温室効果ガスの排出量を算定しています。

  1. エネルギー
  2. 工業プロセス及び使用
  3. 農業、森林及びその他土地利用変化
  4. 廃棄物

各カテゴリーにおいて温室効果ガスの種類別に排出量を算定すると同時に、CO2と比較した場合の各温室効果ガスの温室効果の強さを示している地球温暖化係数(GWP)を用いて、二酸化炭素CO2に換算した温室効果ガス総排出量を算定します。

提出された温室効果ガスインベントリはUNFCCC事務局により審査されます。

所定のガイドラインに従って算定・報告が正確且つ完全に行われているか等の観点で事務局の専門家から精査されます。

UNFCCC事務局にて精査された後、将来の報告書作成のための勧告や推奨事項が記載された審査報告書が作成されます。

温室効果ガスインベントリの再計算に関しても留意が必要です。

温室効果ガスインベントリでは全ての期間で一貫した算定方法を用いることが義務付けられています。

その為、UNFCCCの審査報告書で算定方法の勧告を受けたり、追加の研究結果を適用する場合、過去まで遡って温室効果ガス排出量を修正しなければなりません。

実際、日本においても毎年温室効果ガスインベントリの作成の際に過去分を遡って修正しています。

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