IPCCとは
IPCCとは、国際的な専門家が、気候変動に関する評価を行い、報告書にまとめている国連の組織です。
IPCCは、Intergovernmental Panel on Climate Changeの略称で、日本語では、気候変動に関する政府間パネルと言います。
組織自体は、1988年に国連環境計画(UNEP: United Nations Environmental Programme)と世界気象機関(WMO: World Meteorological Organization)により設立されました。
現在、世界中で地球温暖化に対して、様々な対策などがなされていますが、どれほどの効果を発揮しているのか、あるいは正しい対策なのかを適切に評価されなければなりません。
そこで、IPCCでは国際的な専門家が、地球温暖化に関して、科学的、技術的、社会経済学的な見地から最新の評価を行い、対策できる技術や政策の実現性やその効果などの評価を提供しています。
5~6年おきに発行される「評価報告書(Assessment Report)」は専門家の科学的知見を集約した報告書で、国際政治や各国の政策に影響を与えています。
(名称は政府間パネルですが、政府関係者だけでなく科学者などの専門家が多数ボランティアで参加しています)
但し、IPCCは政策を規定するのではなく、政策に適切な知見を提供することを活動内容としています。
IPCCによる報告書
地球温暖化に関して多くの専門家の科学的知見を集約(AR5だと800人以上が執筆)されており、国際的に広く認められた報告書を数年おきに発表しています。
UNFCCC(気候変動枠組条約)の実行に関する内容も多く含まれていて、政治や政策に強い影響を与えています。
これらの報告書は、厳密にはIPCC自身で調査をするのではなく、発表された世界中の論文などを基にしてまとめられています。
特に、2007年に第4次評価報告書(AR4)を発表した際にノーベル平和賞を受賞し、話題となりました。
現在、第5次報告書(AR5)まで発表されており、第6次報告書(AR6)が2022年に公表予定となっております。
- 第1次報告書(1990年)First Assessment Report 1990 (FAR)
- 第2次報告書(1995年)Second Assessment Report: Climate Change 1995 (SAR)
- 第3次報告書(2001年)Third Assessment Report: Climate Change 2001 (TAR)
- 第4次報告書(2007年)Forth Assessment Report: Climate Change 2007 (AR4)
- 第5次報告書(2013年)Fifth Assessment Report: Climate Change 2013 (AR5)
IPCC最高決議機関である総会に加え4つのグループで構成されています。
- 第1作業部会(WG1):自然科学的根拠 気候システムや気候変化についての評価を行います。
- 第2作業部会(WG2):影響、適応、脆弱性 気候変化の自然や、社会・経済等の各分野における影響や適応策についての評価を行います。
- 第3作業部会(WG3):緩和策 気候変化に対する緩和策や、温室効果ガス排出シナリオについての評価を行います。
- インベントリ―・タスクフォース(TFI) 各国における温室効果ガス排出量・吸収量の目録(インベントリ)策定のための方法論の作成・改善を行います。
IPCCの留意点
IPCCでは、多くの専門家の見解を検討し、発表時点で最も確からしい結論を記載しています。
そのため、報告書にも断りが入っている通り、参加した専門家によって個人の見解の相違があることがあります。
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