SBTとは
SBTとは、パリ協定の水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標のことです。
SBT (Science Based Targets)がうまれた背景としては、2015年のパリ協定が挙げられます。
パリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、平均気温上昇1.5度未満を目指すことが定められました。
これを受け、多くの企業が温室効果ガス削減目標を掲げる中、科学に基づく目標を設定し、低炭素で将来を見すえた成長を推進する目的で、SBTが設定されました。
SBTの設定により、温室効果ガス排出を減らし、気候や地域社会を守ることに貢献できることなどから、参加する企業は世界全体で年々増加しています。
世界で、SBTに、認定もしくはコミットをする企業数は2021年時点で、1200社程度まで増えています。
うち日本の企業も114社が参加しており、グローバル・国内どちらにおいても増加傾向で、今後より一層広く取り組まれることが想定されています。
SBTイニシアチブは、SBTで設定した企業の目標達成を推進するための共同イニシアチブです。
SBTイニシアチブは、CDP・UNGC(国連グローバル・コンパクト)・WRI(世界資源研究所)・世界自然保護基金(WWF)の4つの機関の共同で、2014年より運営されており、SBT自体もSBTイニシアチブによって提唱されました。
SBTの主な要件は、次の4種類です。
- ⽬標年: 5年以上先、15年以内
- 基準年:最新のデータが得られる年で設定することを推奨されています。
- 対象範囲:サプライチェーン排出量(原則Scope1、Scope2、Scope3)
- ⽬標レベル:少なくとも年2.5%削減(2℃目標)することが必須です。推奨は、年4.2%削減(1.5℃目標)とされています。
SBTは、パリ協定が求める水準(世界の気温上昇を産業⾰命前より2℃を⼗分に下回る⽔準(Well Below 2℃: WB2℃))と整合したものとなっています。
SBTに取り組むメリットとして4つのステークホルダーへの評価向上やリスクの低減に繋がることが挙げられます。
1. 投資家
年⾦基⾦などの機関投資家は、中⻑期的なリターンを得るために企業の持続可能性を評価しています。 SBTの設定は企業の持続可能性をアピールでき、CDPなどにおいて評価されるため、投資家からのESG投資の呼び込みにもつながります。
2. 顧客
リスク意識の⾼い顧客は、サプライヤーに対して野⼼度の⾼い⽬標、取り組みを要求します。
SBTの設定をすることはリスク意識の⾼い顧客に応えられることになり、⾃社のビジネス展開におけるリスク低減やチャンスにも繋がります。
3. サプライヤー
サプライヤーが環境対策に取り組まなければ、⾃社の評判が下がったり、排出規制によるコストが増えるなど、リスクがあります。
SBTで設定した削減⽬標を、サプライヤーに対して⽰すことで、サプライチェーンの調達リスクを下げられたり、イノベーションの促進につなげることができます。
4. 社内
SBTが課す野心的な削減目標は、社内の省エネ・再エネ導入の成果指標となります。
積極的な省エネや再生可能エネルギーの導入は、コストを下げられたり、イノベーションの促進にもつながります。
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