サプライチェーン排出量とは

サプライチェーン排出量とは一つの事業者だけでなく事業活動に関連するサプライチェーン全ての温室効果ガス排出量のことをいいます。

サプライチェーン排出量は原材料の調達・製造・物流・廃棄などの一連のプロセスから発生する温室効果ガス排出量のことを言い、

  • サプライチェーン排出量=スコープ1+スコープ2+スコープ3

と表すことができます。

スコープ1(Scope1)
事業者単独で燃料の燃焼などによって発生した事業者単独の温室効果ガス排出量

スコープ2(Scope2)
電力会社などから供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う温室効果ガス排出量

スコープ3(Scope3)
上記以外の事業者の活動に関連するサプライチェーン(他社)の温室効果ガス排出量

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サプライチェーン排出量の算定のプロセスは次のように進めます。

  1. 排出量算定の目的を設定する
  2. 算定対象範囲の設定する
  3. カテゴリーの抽出
  4. カテゴリー内での特定
  5. 活動量データの収集・算定

排出量算定の目的の設定にあたり、具体的な目的は次の6つが一般的です。

  • a. サプライチェーン排出量の全体像を把握する
  • b. 削減対象の詳細評価をする
  • c. 削減対策の経年評価を行う
  • d. ステークホルダーへの情報開示を行う
  • e. 多様な事業者による連携を推進する
  • f. 削減貢献量のPRを行う

具体的な目的を決めることで、これ以降の算定対象範囲の設定や、詳細を把握しなければならない活動の特定などを行うことをできます。

算定対象範囲の確認については次の5つの原則があり、全てを満たすことが理想とされています。

  • a. 温室効果ガスの種類(二酸化炭素、メタン等)
  • b. 組織的範囲(Scope1, Scope2, Scope3)
  • c. 地理的範囲(国内及び海外)
  • d. 活動の種類(サプライチェーンにおいて温室効果ガスの排出に関連するすべての活動)
  • e. 時間的範囲(1年間の事業活動に関するサプライチェーン排出量)

上記の全てを満たすことが理想ではありますが、排出量算定の目的や事業内容などによっては算定対象外としても差し支えない場合があります。

次にカテゴリーの抽出・カテゴリーの特定においては次の内容に該当するものは算定対象範囲から除外することや限定することも可能です。

  • a. 該当する活動がないもの
  • b. 排出量が小さくサプライチェーン排出量全体に与える影響が小さいもの
  • c. 事業者が排出や排出削減に影響力を及ぼすことが難しいもの
  • d. 排出量の算定に必要なデータの収集が困難なもの
  • e. 設定した排出量算定の目的からみて不要なもの

算定対象とする範囲を設定する場合、どのような理由でどの範囲を算定対象外としたのか開示することが必要です。

また、算定対象外とする範囲についても最初の1年間のみ算定を行い、その後は同一の値を使用するなど、一度はサプライチェーン排出量の全体を捉えることが好ましいです。

活動量データの収集・算定については主に次の2通りの方法があります。

  1. 関係する取引先から排出量の提供を受ける方法
  2. 排出量=活動量×排出原単位という算定式を用いる方法

実態に即した排出量の把握やサプライヤーと連携した排出量の管理という観点からは取引先から排出量の提供を受けることが望ましいです。

但し、現実的には難しい場合がある為、その場合は排出量=活動量×排出原単位の算定方法を活用します。

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